共同通信系メディアのNNAにて、【ASEAN】ベトナム医療は魅力的な投資機会か?(4)を掲載
弊社代表杉田浩一による共同通信系メディアのNNAのWEB特集「経済ニュースから見るASEAN」連載が掲載されました。
NNAの掲載記事「【ASEAN】ベトナム医療は魅力的な投資機会か?(4)」はこちら。
<掲載内容の抜粋>
経済活動の活性化が続く東南アジア各国においては、今まで比較的手薄だった医療関連業界にも近年は資金が流入しており、各地で病院の建設が進みつつある。9月15日付のNNA記事「病院の新設・増床相次ぐ M&A、外資参画も活性化」(https://www.nna.jp/news/result/1661884)によると、インドネシアでも病院の新設や拡張が相次いでいることを報じている。既存の病院買収による事業拡大のほか、外資企業から出資を受けたり、株式市場で巨額の資金を調達したりする動きも活発化している。2億6,000万人という世界第4位の人口を抱えるインドネシアでは、病院数が圧倒的に不足していることが背景にある。
同記事によれば、「国内の病院数は、6月末時点で2,705カ所。6年前の1,721カ所から6割近く増加した。インドネシア証券取引所(IDX)に上場する最大手のシロアム・インターナショナル・ホスピタルズは、今年に入り事業を急速に拡大。7月に一気に4病院を開業したのに続き、年内にはさらに7病院を開業、来年は8病院を新設する計画だ。2019年までに全国で50病院以上を運営し、ベッド数1万床体制の構築を目指している」という。
■活発化する私立病院建設の裏で問題になる公立病院との格差
こうした私立病院への資金流入が活性化する一方で、その裏で問題になっているのが公立病院との医療の質の格差だ。
東南アジアにおいては、総じて事業会社が私立病院の株主となり事業運営を行えることから、営利目的を主眼とした事業展開が行われている。そこでは利益重視の観点から、より高度な医療など「利益水準の高い」治療を積極的に展開しがち。私立病院のパンフレットには、高価なCTスキャンや、MRIなどの設備の写真が誇らしげに並ぶ。最近建設される多くの私立病院は、豪華ホテルと見まがうばかりの設備を用意し、国内の富裕層のほかアラブや周辺国から来る医療ツーリズムを取り込もうとしている。
私立病院が自らの医療水準の差別化のために行う切り札が、有名な医師の一本釣りだ。その分野で名前の知れたスター医師を引き抜くことで、他の病院より高い医療技術をアピールすることができる。その結果、比較的確保が難しい診療領域の医師の給与は特に増加する。そして、それは当然治療費の高さになって跳ね返ってくる。
一方で、貧富の差も大きい東南アジアの各国において、高価な医療を受けられる患者の数は限られている。多くの国民はこうした私立病院での高額な治療を受けることはできないため、公立保険内で対応できる公立病院に殺到する。そこでは、国の限られた予算で、患者数と比して少ない医療従事者が、限られた医療設備を駆使して対応することになる
こうして公立病院では多くの患者が長い列を作って待つなか、私立病院より低い給与水準の公立病院の医療従事者が身をすり減らして対応する構図ができあがる。