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共同通信系メディアのNNAにて、「経済ニュースから見るASEAN」連載第8回を掲載

弊社代表杉田浩一による共同通信系メディアのNNAのWEB特集「経済ニュースから見るASEAN」連載第8回が掲載されました。

第8回のNNAの掲載記事はこちら。 

<掲載内容の抜粋>

【ASEAN】不動産開発・建機業界から見るタイプラスワン・8

第8回 カンボジアとミャンマーではどちらが有力な進出先か(その8)

前回(https://www.nna.jp/news/show/1574529)の記事で、ミャンマーにおける建機ファイナンスの概況を説明し、各社がどのようなファイナンスパッケージを提供しているのかについて、説明してきた。こうした中、ミャンマーで割賦などのファイナンスの提供がさらに加速することを示唆するニュースが入ってきた。

3月14日付のNNA記事「農機割賦販売の新制度、農省に申込み700件」(https://www.nna.jp/news/result/1582913)によると、ミャンマー農業・畜産・かんがい省が提示した新たな農機の割賦販売スキームに対して、700件の申し込みがあったという。

ここでいう新しいファイナンススキームとは具体的にどのようなものか。同記事によると、「新スキームは頭金10%で、残りは3年間の割賦で支払う。農家は、申請書に町村役場の推薦状や農業従事証明書を添えて申し込む」とある。従来の政府のスキームは「頭金30%で、2年の割賦払いだった」という。

ミャンマーの農村で生産性の向上とそのための機械化の促進は、喫緊の課題である一方で、それを実現するための農家に対する資金的な裏付けの提供が大きなボトルネックになっていた。こうした中で、農機の割賦販売の促進に動き出した。

記事に記載されている農機のファイナンスにおける従前までのスキームは、頭金30%で2年の割賦払いとあるが、これは前回でも見たように、ミャンマーの建機に対するファイナンスのスキームとも、基本的には同じである。そこから考えると、新スキームで提供される頭金10%でかつ3年間の返済期間は、与信を提供する側からは、より踏み込んだリスクの提供となる。

建機のファイナンスにおいて、より信用力が高いと思われる建設会社に対しても、かなり厳選してファイナンスの提供を行っている中で、より事業規模が小さい農家に対して、どこまで積極的に、よりリスク度の高い与信の提供が行われるのだろうか。今後のこの制度の実際の運用について気になるところだ。

■ミャンマーではリース業界はまだ改善の余地が大きい

さて、新たな動きが見えるミャンマーのファイナンス業界だが、前回見てきた通り、建機販売会社が提供しているスキームは、基本的には割賦に類似したハイヤーパーチェスや貸付がほとんどで、建機に対するリースの提供はあまり行われていない。リースも含めたファイナンススキームが取り揃えられているカンボジアとは異なる点だ。

ミャンマーでは、なぜリースの提供が限られているのか。2016年6月15日付のNNA記事「リース法案策定に年内着手、IFCが支援」(https://www.nna.jp/news/result/1131170)によると、ミャンマーの民間銀行ミャンマー・オリエンタル銀行(MOB)のミャ・タン会長は「ミャンマーには、リースや割賦払いについて、顧客の債務不履行を処理する法的枠組みがないことが大きな問題」と指摘している。

同記事では、ヨマ・フリートのアラン・デビッドソン・ゼネラルマネジャーのコメントも掲載しており、「リース法の制定で(債務不履行に陥った顧客から)資産を回収する法律的な枠組みができれば、リース産業の成長を促し、参入を目指す企業も増えるだろう」と期待を示している。