共同通信系メディアのNNAにて、「経済ニュースから見るASEAN」連載第7回を掲載
弊社代表杉田浩一による共同通信系メディアのNNAのWEB特集「経済ニュースから見るASEAN」連載第7回が掲載されました。
第7回のNNAの掲載記事はこちら。
<掲載内容の抜粋>
【ASEAN】不動産開発・建機業界から見るタイプラスワン・7
第7回 カンボジアとミャンマーではどちらが有力な進出先か(その7)
2月9日(木)付けのNNA記事「サイアムクボタ、昨年の売上高は1600億円」(http://www.nna.jp/news/result/1568951)によると、クボタのタイ法人サイアムクボタ(SKC)は2月7日に、2016年の売上高が前年比4%増の500億バーツ(約1,600億円)だったと発表した。同記事によると、輸出の拡大が増収に寄与しており、タイ国内の売上高が270億バーツ、輸出が230億バーツだった。特に、「輸出では、農地面積が大きく、農業機械の普及が進むミャンマーが最も高い伸びを示し、カンボジアとラオスが続いた」という。
クボタは1月、輸出強化に向けて、タイで今年10月にコンバインの年産能力を現行比5割増の2万台に引き上げる計画を発表。15年9月には、ミャンマー最大の都市ヤンゴン近郊のティラワ経済特区(SEZ)に農機販売会社を設立するなど、メコン事業を加速させている。
このように、アセアン全体での売上の底上げにミャンマーやカンボジアの市場が大きく貢献するような業種も出てきている。今後シンガポールやマレーシア、タイなどの、経済発展で先行したアセアン諸国の成長鈍化が予想される中で、ミャンマーやカンボジアに代表される新興アセアン諸国での成長力確保が重要なカギになってくるだろう。
さて、このシリーズ「不動産開発・建機業界から見るタイプラスワン カンボジアとミャンマーではどちらが有力な進出先か」では、こうした新興アセアンにおける市場選択やその違いを認識するために、カンボジアとミャンマーの市場を比較してきた。今までカンボジアにおける不動産開発(第1回)、建機業界(第2回)、そして建機ファイナンス業界(第3回)をそれぞれ見た上で、同じようにミャンマーの不動産開発業界(第4回)、建機業界(第5回、第6回)をカバーしてきた。
今回は、ミャンマーにおける建機ファイナンスの現況を見ていきたい。その上で、次回以降で、両国のそれぞれ不動産開発、建機業界、建機ファイナンス業界を比較したうえで、タイプラスワンの進出先としてのメリット・デメリットを確認していく。
さて、前回の第6回(http://www.nna.jp/news/show/1568360)では、ミャンマーの主要な建機販売代理店のシェアの変動を見ながら、それぞれの代理店戦略を考察した。その中で、建機販売におけるファイナンスの有無やその形態の差が、現地での販売シェアの差になっている可能性が浮かび上がってきた。
特に、コマツの販売形態については、「代理店が外資100%での進出のため、『ハイヤーパーチェス(割賦販売の一種)』のようなファイナンスプランの提供ができず、原則100%キャッシュで販売している」と、現地の他の代理店からコメントもあった。もしそうであれば、資金的には必ずしも潤沢でないミャンマーの建設会社への販売では他社より劣後することになってしまう。
それでは、業界の主要な建機販売代理店はどのようなファイナンススキームを提供しているのだろうか、ミャンマーの建機販売における主要なファイナンススキームは何か。そのカンボジアとの違いは何かについて検討したい。
■多くの顧客がハイヤーパーチェスと分割払いを用いて建機を購入
まずは、韓国系建機DOOSANの代理店を務めるHTUN NAY WUN THITSAR Co Ltdに、彼らの建機ファイナンスの提供状況を確認した。
同社のマネージングディレクターのHtun Lynn氏の説明によると、同社が提供するファイナンスは、基本的にハイヤーパーチェス(割賦であるが、所有権が最終支払い後に購入者側に移転する形態)で、貸出期間は最大2年間とのこと。その際、頭金として建機の購買価格の30%は現金で支払う必要があるとのこと。これとは別に、貸付期間1年間での分割払いも特定の上顧客に対してのみ提供している。
顧客のうちの80%は何らかのファイナンスを組むことを希望するが、実際に提供しているのは与信審査に通った65%のみとのことだ。このような建機会社が提供するファイナンス以外にも、買い手は銀行からの借入等を通じて何らかの借り入れを組み合わせて建機の購入を行っており、「純粋に現金だけで購買する顧客の割合は5%にも満たないのではないか」とのことだ。