共同通信系メディアのNNAにて、「経済ニュースから見るASEAN」連載第4回を掲載
弊社代表杉田浩一による共同通信系メディアのNNAのWEB特集「経済ニュースから見るASEAN」連載第4回が掲載されました。
第4回のNNAの掲載記事はこちら。
<掲載内容の抜粋>
【ASEAN】不動産開発・建機業界から見るタイプラスワン・4
第4回 カンボジアとミャンマーではどちらが有力な進出先か(その4)
前回(http://www.nna.jp/articles/show/1552735)はカンボジアの建機業界の動向を見ながら、建機ファイナンスの事業環境や提供されているサービス内容について伝えた。そこで見えてきたのは、カンボジアにおけるファイナンス業界のフレキシビリティの高さと、それによる競争環境だ。さて、今回からは視点をカンボジアからミャンマーに移して、同様に現地の建機販売の現場を見ながら、現地におけるファイナンスの環境を見ていく。ただその前に前提となるミャンマー現地の建設関連及び不動産市況について、NNAで昨年発表された不動産関連記事を追いながら確認していきたい。
■期待感で年明けしたミャンマー不動産市況
今からさかのぼること1年前のミャンマーは、前年に実施された総選挙におけるアウン・サン・スーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)の圧勝を受け、政権交代への期待と不安に包まれた高揚感で年を明けた。欧米諸国からの支援を受けてきたアウン・サン・スーチー氏による政権が成立により、民主化の進展とそれに伴う経済制裁の解除、さらには海外からの一層の投資の促進が期待された。
年明け後の1月22日にはコンドミニアム(分譲マンション)法案が連邦議会を通過。物件の一定比率までの戸数について外国人の保有を認めるもので、外国人が初めて合法的にコンドミニアムを保有できる法的な枠組みがようやく整備された。
コンドミニアム法案は2013年に最初に議会提出され、再三審議されたが、外国人に認める保有比率などをめぐって上院と下院の間で調整が難航。ドラフトが最初に用意されてから何年も「店晒し」になっていた同法案の可決により、不動産開発市況の期待感がさらに加速した。背景には、選挙の結果を受けて退任が予定されていた当時のティン・セイン政権が1月末で任期満了となるのを直前に控え、駆け込みで承認したことにある。
■強烈なインパクトを与えた高層ビル開発の凍結
旧政権をサポートしていた既得権益者の多くは、それまで不動産開発で膨大な利益を享受してきた現地主要財閥をはじめとした不動産開発事業者が含まれている。そうした富の偏在に対して民衆の怒りが爆発する形で成立した新政権は、不動産開発に対して厳しいスタンスで対応した。
中でも象徴的だったのが、5月14日にヤンゴン市開発委員会(YCDC)によって発表された高層ビル開発の凍結だ。YCDCの土木局が最終認可を与えていない高層ビルの建設を一時差し止めると発表したのだ。YCDCは前政権による高層ビル建設の認可には統一性がないとして、ヤンゴン市の開発計画に一致しているかどうかを確認する目的で、仮認可を取得した約200棟の建設を一時差し止め、着工済みの約80棟を含む180棟を対象に調査することになった。
YCDCは、内部に新設された委員会が6月21日から建設現場への立ち入り検査を始め、まずは着工許可を得ている64棟のうち12棟の検査を開始した。業界内に不安と動揺が広がる中で同月29日に高層ビル建設の新しい認可手順新たな声明をYCDCに発表。同月29日付NNA記事「ヤンゴンの高層ビル建設、新認可手順を公表へ」(http://www.nna.jp/articles/result/1128547)によると、「(YCDCの)ナイ・ウィン副局長は『(高層ビル建設の)新しい認可手順は国営メディアを通じて公示する。これまでの認可手順は無効となる』と説明した」とのことで、業界内での混迷の度合いはさらに深まることになった。