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労働環境から見るインドネシア経済の先行き不安

 NNAによると、米調査会社ニールセンは3日、2015年第4四半期(10~12月)の消費者信頼感調査で、インドネシアの指数は世界3番目の115だったと発表した。指数は前期に比べて1ポイント低下したものの、順位は前回から1ランク上昇した。これによると、「インドネシアが不況にある」との認識を示したインドネシア人は69%で前期から4ポイント減少したが、「景気が1年以内に改善すると思わない」との回答が43%を占め、早期の景気回復は期待できないとする見方が最も多くなった。

 一方で、向こう12カ月の消費意欲を尋ねた質問では楽観を示した割合は45%で、前期から4ポイント減少した。「向こう12カ月で職業環境が改善する」とした割合は68%で、前期から4ポイント増加した。
 
 その一方で、足元では労働争議の高まりも見せている。3日付ジャカルタ・ポストによると、インドネシア労働組合総連合(KSPI)は、6日に首都ジャカルタで数千人規模のデモを実施すると明らかにした。日系企業などで昨年末からレイオフ(一時解雇)が急増していることに懸念を強めていることが背景にあるもようだ。大統領宮殿と最高裁判所でレイオフに反対し、政府が今年から導入した新しい最低賃金制度の廃止を求めるデモ集会を開く。

 KSPIのサイド・イクバル代表は、このほど日系家電メーカーが大量解雇を発表したことや、政府に対し、景気悪化を受けて最低賃金の上昇を抑制するよう求めていることなどを批判。政府に強く対策を求める方針だ。昨年末から今年1月にかけて、操業を停止した日系企業によるレイオフにより、組合員2,600人余りが影響を受けたという。このほかにも日系自動車メーカーや、韓国系電機メーカーなどで大量解雇が発生しており、3月までにさらに900~1,000人が解雇される見通しという。

デモは、ジャカルタのほか、東ジャワ州スラバヤ、リアウ諸島州バタム、西ジャワ州バンドン、北スマトラ州メダン、アチェ州バンダアチェ、東カリマンタン州マカッサルでもそれぞれ数千人を動員して実施する予定だ。

 世界的な先行き不安の高まりと、足元の雇用不安等から、インドネシアでの本格的な景気の改善は、確かにニールセンの統計の通り、直ぐに改善が見込めるような状況にないことは確かだ。