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共同通信系メディアのNNAにて、「経済ニュースから見るASEAN」連載第2回を掲載

弊社代表杉田浩一による共同通信系メディアのNNAのWEB特集「経済ニュースから見るASEAN」連載第2回が掲載されました。

第2回のNNAの掲載記事はこちら

<掲載内容の抜粋>

第2回 カンボジアとミャンマーではどちらが有力な進出先か(その2)

前回の「不動産開発・建機業界から見るタイプラスワン カンボジアとミャンマーではどちらが有力な進出先か(その1)」では、マクロ的な視点からカンボジアの現在の好況の背景について説明した。特に、積極的なインフラ投資や不動産開発への資金の流入を紹介した。

こうした状況は、12月1日付のNNA記事「首都の新興都市開発、第1期まもなく完工」に記されている。カンボジアの複合企業オーバーシーズ・カンボジア・インベストメント(OCIC、海外柬華投資)は、首都プノンペンで「クロイ・チャングバー・サテライト・シティー(CCSC)」と呼ばれる新興都市を建設しており、面積は約285ヘクタール。投資総額は約16億米ドル(約1,840億円)で、集合住宅や商業施設のほか、教育機関、スポーツ施設、発電所などを設置する計画だ。

12月12日付のNNA記事で開示された「香港ランドの高層ビル、17年1~3月に開業」にも、カンボジアの不動産市況の活況を伝えている。それによると、不動産開発や投資を手掛ける香港ランドはカンボジアの首都プノンペンに開発中の高層ビル「エクスチェンジ・スクエア」を17年1~3月にも開業する予定だ。

こうしたカンボジアでの不動産活況を物語る記事は多いものの、今回は少し視点を変え、インフラ不動産市況が端的に表れる建機業界開発に絞り、開発の足元の状況を見ていきたい。なぜなら、こうした建機業界及びそのファイナンススキームに、カンボジアとミャンマーの相違点を語る上での重要なポイントが含まれているからだ。

■カンボジアの郊外で打ち捨てられている中古建機

東南アジアのカンボジアやタイを含むメコン地域の大部分は、熱帯モンスーン気候に属し、乾季と雨季に大別された季節を有しており、11月から12月ごろが雨季から乾期への境目になる。

地域特有の季節性は、建機の販売にも大きく影響する。インフラ工事では、スコールにさらされる雨季は作業効率が落ちるため、より効率的に作業のできる乾季にスピードアップして作業を進め、雨季に発生した遅れを取り戻そうとする傾向がある。乾季は建機販売の書き入れ時である反面、雨季は販売が停滞する。一方で、建機会社としては、雨季は換金のために建機の売りが多くなる時期。そのため中古建機メーカーも雨季の間で建設会社から仕入れて整備を行い、ハイシーズンの乾季に売るサイクルとなっている。

プノンペンの郊外を車で走っていると、中古の建機が無造作に平場に並べられていたりする。雨ざらしになって中には朽ち果てたようなものもあり、これらは売り物なのかとさえ思えてくる。果たして誰がどの程度買っているのだろうか。

■価格設定やファイナンススキームでシェアを高めつつあるヒュンダイ

中古車市場における人気のあるブランドを見てみてきたが、新車市場ではどうだろうか。これもキャタピラー社が一番人気だが、二番手グループには韓国の現代重工業(ヒュンダイ)、英国のJBC、日本の日立建機、スウェーデンのボルボといった名前がよく挙がってあがってくる。

日本の建機最大手のコマツはどうかと聞くと、「機械自体は良いのだが、販売しているディーラーがしっかりしていなかったので、今まではそれほどカンボジアではプレゼンスがなかった。ただ、現地でのディーラーを展開する会社が変わってしっかりやりだしたので、これからはより勢いを増すだろう」(現地建機ディーラー営業担当者)といった答えが返ってきた。製品の良さだけでは必ずしも売り上げにつながらないのは、ここでも同じだ。

 

建機の販売拡大では、どれだけ魅力的なファイナンス・スキームを提供できるかが重要なポイントになっている。次回は、カンボジアの建機業界でどのようなファイナンスの方法があるのか、またその相違点は何かを見ていきたい。