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2016年版「経済自由度指数」から見るタイの投資環境

 米保守系シンクタンクのヘリテージ財団と米紙ウォールストリート・ジャーナルが発表した2016年版「経済自由度指数」で、タイは昨年から8ランク上昇の67位だった。

 調査は世界178カ国・地域をランク付けしており、「法の支配」「監督機関の効率性」「国庫の自由度」「市場開放性」の4分野の計10項目について、100点満点で評価している。ちなみに、2016年のタイの指数は63.9で、前年比で1.5ポイント上昇した。

 タイは、10項目のうち6項目で指数が上昇。最も大きく改善したのは「投資自由度」で、昨年から5ポイント上昇した。報告書では「貿易自由度」が評価されるなど、市場開放性の改善が見受けられた。一方で、「財産権」「汚職からの自由度」「労働自由度」は懸念が残ると指摘された。

 とかくタイの軍事政権に対して批判的な目が強い米国の見方からすると、この水準でとどまっていることは、むしろ健闘しているともいえよう。一方で、こうした評価の変化とは裏腹に、実際の投資の場では、よっぽど目につく大きな変化がない限り、一年単位での変化は感じることは難しい。小さな積み重ねを重ねる中で、どれだけ10年単位で見て変化しているかが大事になってくる。

 なお参考までに、16年版の経済自由度指数の最高得点は香港の88.6点で、香港は22年連続の首位獲得となった。以下、シンガポール、ニュージーランド、スイス、オーストラリアが続いた。日本は経済自由度が73.3点から73.1点へと下がり、順位は20位から22位に後退した。タイのことをとやかく言う前に、日本の事業環境をどう改善できるか考えたほうがよさそうだ。